【わかりやすい構造設計】『決断』するのは電算ではなく設計者

【構造設計】

構造設計者が構造計算プログラム(=電算)に使われることについて問題提起をしてきました。
参考:構造計算プログラムに使われない付き合い方
こちらの記事についてはうれしいことに多くの反応をいただくことができました。ありがとうございます。

そこで今回は問題提起からもう一歩進んで、もう少し具体的に電算に使われないためのポイントを書いていきます。

①行動・思考を変えるための言葉化

問題提起だけでは行動や思考が変化しないのは、多くの方が経験的に認識していることだと思います。
行動や思考を具体的に変化させていくためには、方向性をきちんと言葉で固定しておく必要があります。言葉にしておかないと、行き先を見失ってすぐに元に戻ってしまいます。

逆にしっかりと言葉化しておくと、無意識化においてもそれに沿って思考していくようになります。
また言葉化しておくことで上手くいかなかった場合にでも、どこを改善すれば良いかを考えることができるようになります。

②判断と決断を区分する

建築関連の書籍ではありませんが具体的な思考の指針としてわかりやすく言葉化してくれていた書籍があったのでその内容を紹介します。

—————–一部引用—————–
2000社の赤字会社を黒字にした社長ノート「不確実な未来」を生きる術
”判断は緻密に!決断は迅速に!”
”日本社会の大きな欠点は、「判断」と「決断」を混同しているところではないでしょうか。”
”決断に時間がかかるようなら、判断が間違っているか、不十分である証拠です。”
—————–引用終了—————–

これは電算との付き合い方で留意すべき内容を示してくれています。
本書では判断とは情報を十分に検討して、正しい答えを導き出すこと。決断は検討の結果を踏まえて、どの道を選ぶか決めることと定義しています。

判断が間違っている、不十分というのは、電算の内容の理解が不十分なままにとりあえず入力だけしているということも入ると思います。 マニュアルや基準書を読むなどして、決断できるための準備をしっかりとしましょう。

不明点がわからないという場面もありますが、決断することを目的として思考するだけでも、漠然と不明点を探すよりは照準は定まりやすくなります。
参考:『何がわからない』かが”わからない”のはなぜ?

③最後の決断が設計者の役目

電算がやってくれるのは判断までです。
最終的には必ず構造設計者が”決断”をする必要があります。電算に”決断”をさせてはいけません。電算に”決断”をさせることが、電算に使われているということになります。

この決断と判断の区別を自分の中で明確に定義することで、電算の見方・使い方は変わってくると思います。

電算は判断をするための検証については非常に力になってくれます。判断は電算に任せて、設計者はきちんと決断をしてきましょう。

参考:余力をどのように設定する?過剰思考になっていない?
参考:構造計算プログラムの結果が正しいとは限らない

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