【わかりやすい構造設計】杭メーカー(トーヨーアサノ)に学ぶ~地盤調査の読み解きと杭の検討手順

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今回は【学ぶ】シリーズとして構造設計者からも注目度の高い杭に関してです。

これまでは以下のような記事で設計者目線での杭の設計について解説してきました。
杭の耐震設計の変遷と外力の考え方
既製杭の計算書チェックリスト|メーカー任せにしないための確認ポイント

今回はこれらの内容をより深めていくために杭専門メーカーから視点も踏まえて解説していきます。

今回の記事では静岡、山梨、神奈川といった複雑な地盤な地域を中心として全国に展開しているトーヨーアサノさんにインタビューさせていただきました。

インタビューではまずは一般的な杭を設計する際の、思考過程や検討手順について解説していきます。

目次

①  地盤踏査結果をどのように読み解く?

まずは設計は始める段階で理解することが不可欠な地盤調査結果をどのような視点で見ているのかを知っていきます。

Q1.地盤調査報告書で最初に注目する部分は?

まずは支持杭として明確な支持層(目安としてはN値の下限値が30~40程度以上で採用杭径にもよりますが層厚が5m以上あるのか)の存在を確認し杭長がどの程度になるのかを把握します。

明確な支持層がある場合は建物の荷重(支点の軸力)が重いのか軽いのかにより工法の選定を行います。明確な支持層がない場合は先端支持力に依存しない摩擦主体の工法(いわゆる摩擦杭)を選定します。

合わせて地盤報告書以外の情報として建物の敷地、その周辺の道路情報を確認して、重機や杭材の搬入出で対応可能な工法、施工可能な杭径などにも制限が発生しますのでこの点にも注意します

軟弱地盤の地域では液状化層の有無、N値の乏しい沖積粘性土層にも注目します。液状化の程度(液状化層厚)にもよりますが、水平抵抗で杭本数が決定する可能性もあり、高支持力杭を採用しても大きな許容支持力を生かせない場合もあるからです。

Q2.もっと詳細は試験結果があれば!と思うのはどんなとき?

地盤調査のオプションで以下の地盤試験値がありますと杭の設計が合理的になり、確認機関等に対しても説得しやすくなります。標準貫入試験のみだと各種定数をN置換算で算出することになります。詳細な試験をしていないと安全側の定数を採用せざるおえないためコストが高くなる仕様になります。

1.鉛直支持力、杭長の検討に対して

・杭周面摩擦力の評価として一軸(三軸)試験の一軸圧縮応力度qu(粘着力c)
・中間支持層とする場合には杭先端下方に存在します粘性土の圧密試験

2.水平抵抗の検討に対して

・杭頭部付近の孔内水平載荷試験(LLT,プレシオメーター等)の地盤の変形係数(Eo)で特に粘性土に対してN値からの推定では期待できない場合(N=0など)には特に有効です。

・地震時に液状化の恐れがある地域(行政機関のホームページで液状化のハザードマップにて確認できます)では液状化判定(FL)と液状化低減率(β)があれば合理的に液状化による水平抵抗用地盤バネの評価が可能となります。

参考:N値だけで終わらない地盤調査の読み解き方|支持力・沈下・液状化検討のポイント

杭メーカーの具体的な検討手順から学ぶ

次に地盤調査結果を踏まて実際にどのような手順で検討を進めていくのかの詳細を見ていきます。

Q3.どのような手順で検討が進みますか?

一般的な杭設計のフローは以下となります。

  1. 工法の決定 ※敷地条件等で施工可能な機械の能力(最大杭径、最大単杭長)を確認
  2. 杭長、許容支持力の決定
  3. 支点反力(軸力)から2.の許容支持力をもとに配置本数、杭径の割り振り
  4. 杭に作用する地震時慣性力(水平力)により上杭種の選定、深度方向で応力減衰による中杭以下の杭材(継手位置、杭種の構成)の決定、杭本数、杭種のリストの作成で終了

Q4.継手位置や杭種の使い分けを決めるためのポイントは?

継手位置

継手位置の決定要因として2つあります。

一つ目は施工敷地の大きさや搬入出路の幅などから施工機械の大きさ、搬入できる杭材の長さが決定する要因です。

二つ目としては杭の設計において水平力の卓越する杭頭には剛性の高い杭材(SC杭など)を配置し、杭先端に向かい徐々に水平力による応力(杭材に作用するモーメント、せん断力)が減衰していきます。この場合剛性の高い杭は高価であるので、応力に満足する中でできるだけ短して経済的にも合理的な杭構成とし、継手位置を決定します。

杭種の使い分け

上記にも記載しましたが、水平力の卓越する杭頭には応力に見合った杭材を採用します。

全長に渡り杭頭に採用した杭材の採用ではあまりにも高価となるため、応力の減衰により杭材の剛性を下げ経済性を追求します。

3本継の場合の例として、上杭にSC杭(高剛性だか高価)、中杭にPHC杭のB種(剛性が中程度)、下杭にPHC杭のA種(低剛性で安価)継手(長さ)の決定はA4-1の一つ目を考慮し、杭応力の分布を考え、可能な限り高価な上杭を短く、安価な下杭を長くすることで経済性のある杭構成とします。

③  株式会社トーヨーアサノプロフィール 

杭(パイル)の製造、設計支援、施工に関わる総合技術こそが当社の強みであり確固たる管理体制で信頼・安全・顧客第一を実現します。

杭テックとは
杭とTECHNOLOGY(テクノロジー)を掛け合わせた、トーヨーアサノの新しい総合技術の総称である。

設計支援
建物の規模や地盤、敷地の広さや搬入状況など様々な条件を考慮し、最適な杭基礎をご提案しています。事業提案のための迅速な概算検討やコストメリットを求めた実施設計などお客様の要望に合わせ最速最適にご提案いたします。

製 造
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施 工
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