構造設計に限らず、どのような業務でも求められる「考える力」と「提案する力」。 「もっと深く考えろと言われるけど、具体的にどうすれば…」「自分の提案は、なぜか説得力に欠ける…」 そんな悩みを抱えている方も多いと思います。
今回の記事では、誰もが実践できるシンプルかつ強力な思考法「3点思考」について、体験談を交えて解説します。
この習慣を身につけるだけで、思考は驚くほどクリアになり、あなたの提案は説得力を増し、他者との明確な差を生み出すことができるようになります。
① 一級建築士試験で培った「3点思考」
成果につなげるためのシンプルかつ具体的な方法が、「どんなことも3つポイントを出してみる」という習慣です。
なぜ「3つ」なのか。そこには、思考の幅を広げ、論理を強化し、そして他者との差別化を生む明確な理由が存在します。
この方法の効果を明確に定義して認識できたのは、一級建築士の二次試験での製図試験でした。製図試験の中には図面の作図とは別にプランのポイントなどを書く記述シートがあります。その記述をする際に、初期の頃は書けることを書くという思考でした。
そのため、ほとんどの練習問題で各問に対して2つのポイントを書いていました。そのような中で、2つだけだと一般的な内容だけになっていて、問題ごとの特徴によらない内容になっていることに気づきました。
一級建築士の製図試験単体で見ると合格率は30%前後になります。つまり、3人に1人以上が受かる試験ということは、誰でも気づけるように一般論を書いていては3人に1人に入る差別化が図れません。
そこで常に3つのポイントを書くようにしました。そうすると3つ目を絞りだす過程で問題に深く同化して、問題を読み解く中で出題者の意図が自然と掴めるようになって、全体の成果度が一気に上がりました。
この思考方法は本ブログを書く際にも活かしています。そのため基本的に3段構成で記事を書いています。
①②の部分で基準などの背景や歴史、基準自体の内容について書いています。しかし、その内容だけであれば、基準書の原文を見たり、今の時代であればAIに聞けば済んでしまいます。
そこでここでしか得られない情報として③に実務の中で得た実践的な解釈を加えることで、実務場面で活かせるものになるようにしています。
② 「3点思考」がもたらす深い洞察力と問題解決能力
前段の具体的な事例を、より他の場面でも活かせるものになるようにポイントを整理していきます。
何かを考える際、ポイントが1つだけでは、その考えが浅く、誰でも思いつく一般論、一方向からの見方に偏りがちです。2つに増やすと、比較や対比はできますが、まだ一般論かもしれません。
しかし、「3つ目のポイントは何か?」と自問自答する習慣をつけることで、物事を多角的に、立体的に捉える思考のトレーニングになります。
「3」という数字は、論理構成の基本単位とも言えます。代表的なフレームワークである「序論・本論・結論」や、問題解決の「課題・原因・解決策」も3つの要素で構成されています。
仕事場面でも、課題・原因はある程度すぐに出るけど、解決策(どうする?)が出てこない場面がよくあると思います。駄目出しばかりして、具体的な解決行動が取れない人がまさにこの状態だと思います。解決策を導き出すことに苦労している人は、この思考が役立つでしょう。
③「3つ目」を追求する習慣が、あなたを成果へと導く
多くの人は、1つか2つのポイントで思考を止めてしまいます。そこで思考を止めず、「3つ目は何か?」と粘り強く考えること。
その「3つ目の視点」こそが、独自の価値となり、周りを「なるほど」と唸らせる鋭い洞察や、誰も気づかなかった斬新な解決策に繋がります。
新しいことを勉強していて中々理解できないときも、頭の中で3つくらいのポイントをイメージするだけで定着度が変わります。
また、なにかを教えてもらう際にも3つ目の視点で質問することで、相手も答えてあげたくなるような内容になるので、人間関係の深まりもできます。誰かに何かを教えてもらうというのは相手の時間を使ってもらうことになるので、1つ目か2つ目に出てくるような一般的なことは自分で解決するようにしましょう。これは相手のためだけでなく自分の力にもなります。
日々の業務の中で、意識的に「ポイントを3つ出してみる」ことを繰り返してみてください。最初は難しく感じるかもしれませんが、この習慣があなたの思考力を飛躍的に高め、仕事の質を向上させる強力な武器となるはずです。
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