【人材育成・仕事の基本】デキる人が実践する段取り|周囲から信頼される仕事の進め方

【人材育成・仕事基礎】

入社して数年は段取りに相当頭を使うことになります。若手時代に限らず、段取りは仕事の中では不可欠なものであり、早い段階で段取りの基礎を身につけた人材とそうでない人材では成果が大きく異なります。

早期に身につけた人材が成果を上げていく一方で、言葉では重要だとわかっているだけで、しっかりと段取りの型を自分なりに確立していない人材はいつまで経っても身につかず、いつも期限に追われて、長時間作業している割に成果が出ない、という状況に陥りがちです。

実際に管理職の立場から見ても、スタッフが自ら段取りを組み、課題を見つけ出して相談してくれると人材育成の負担は相当減ります。

実務を通して感じた段取りを組む上で上手くいったポイントと段取りが上手い人のポイントをまとめていきたいと思います。建築業務に限りませんが関係者が多い場面では、自分だけでなく周囲がスムーズに気持ちよく動ける段取りが重要になってきます。

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①マインドセット編(段取りの基本姿勢)

まずは「できる方法」を考える

どんな課題であっても戦略をたてれば取り組めるという意識が不可欠です。何かを頼まれてもすぐに忙しいからできないと思うことがあると思いますが、その意識で考え始めてはできるものもできなくなってしまいます。

きちんと段取りを組み立てた上で、自分でどこまでやるのか、本当にやる必要があるか、外部の協力があればできるのかを冷静に判断するべきであって、段取りを組む前から頭ごなしに否定していては成長はありません。やろうという意思があればできることはたくさんあると思います。ただし、本当に無理なこともあるのでその時には遠慮なく言った方がみんなのためになります。

やりがちなこととしては課題の優劣を好き嫌いで決めてしまい、本来やるべきことをせずに時間を作ることは段取りができているとは言いません。苦手なことを無理にしても成果は出ないので誰かに依頼することは問題ないですが、依頼するところまではやり切りましょう。

とにかく「自分で」段取りを組んでみる

すぐには上手くいかないですが、とにもかくにも自分の頭を使って考えることで、少しずつ上手くいくにはどうすれば良いかの感覚がつかめてきます。自分でやろうとしない限りは絶対できるようになりません。なので、人材育成上はまずは段取りを組んでもらって、今後の改善点を伝えてあげることが重要です。

②プランニング編(成果を出す計画の立て方)

「成果のイメージ」を固めることから始める

時間がないと思うとしっかり段取りを組む前に作業に入りたくなりますが、それでは後に破綻することになります。段取りを立てるということは最終成果イメージを明確にするということにもなるので、段取りを明確にせずに作業を始めるということは、闇雲に目先の作業をこなしているだけになり、うまくいきません。

成果イメージを明確にするためのポイントは成果度としてはどこまで求められているのか?自分の役割はなにか?を考えることです。

相手が今回はどこをチェックしたいのか?なんのための提出なのか?(最終成果品なのか中間チェック用なのか)といった要点をおさえることと、誰かに頼んだ方がよいことは早々に依頼することで、余計なことに時間を掛けずに評価が得られる成果を提出できます。

常に完璧を目指す心意気は重要ではありますが、限られた時間の中で成果を出そうとした時には必要以上の時間をかけないこと、外してはいけないポイントを落とさないことの方が重要になります。

「期間内」にやりきる方法から逆算する

これまで経験した課題と似たような課題はありますが、全く同じ課題というのは存在せず、条件も期間も課題ごとにかわってきます。期限内に課題を終えられない人は、状況は変わっているにも関わらず、同じやり方でやろうとしてしまって、想定以上に時間が掛かっています。

決まった時間でやりきる方法を考えることは当たり前だと思うかもしれませんが、実際によくありがちなのが自分のやり方で作業してどれ位時間が掛かるのかを先に考えてしまうことです。それでは社会のスピード感に十分に応えられないことになります。

先に考えるべきことは『決まった期間でやりきるにはどのように取り組めば良いか』です。常にこれを考えることで業務が高度化していきます。

これも「成果のイメージを固める」ことに関連しますが、時間があるときもないときで、同じ成果品や取り組み方を目指していてはうまくいきません。限られた時間でできるベストは何かを考える必要があり、それを考えるために、成果の目標をしっかりと固定することが不可欠です。

「やらないこと」を決めて、タスクを絞り込む

設計業務に限らないと思いますが、業務の複雑化と情報過多により、近年の段取りを考える中で重要になってきていることが、「やらなくてよい課題」を抽出し、それを「やらないで済む方法」を検討し、関係者に根回しすることです。

これがないと業務が無限に増えてしまって疲弊してしまいますが、逆にこのことに気づくと本来注力するべきことや好きなことに全力を注げるようになります。しかし、このことに気づいていない人も多く、これを実践することで周囲と差を付けられます。判断力というのは実践で身に着けるものなので常に意識してやっていきましょう。

③実行・調整編(チームで動かし、柔軟に対応する)

「根拠」を持って優先順位を決める

どの作業をなぜそのタイミングでやるのか?なぜその時間がかかるのか?を明確な根拠を持って決めた上で関係者とのスケジュールのすり合わせが必要です。
ただ漠然と決めたスケジュールでは、作業も漠然としたものとなり、効率も悪く、段取り能力も向上していきません。

ここでやりがちなことは段取りを単純に作業手順の積み上げにしてしまうことと、締め切りは強く意識するけれども取り掛かる時期を曖昧にするということです。ゼロとイチとでは大きく違います。必ず『取り掛かる』と決めた時期をズラさないことが重要です。

次に重要なこととして、まずは周囲の人に影響のある作業を最優先することです。それを軸にして自分の作業の優先順位も決まってきます。自分一人で完結する作業(自分が手を動かすだけの仕事など)は、優先順位が低くなります。相手の作業時間を最大限に確保できるように配慮できる人は信頼もされます。

また、自分でコントロールできない部分に余力を持たせることは遅延リスクを最小にするためにも重要な視点になります。

「余力」を持ち、計画を日々塗り替える

新しいことに挑戦する場合や、特に若手のうちは抜けている視点もあるので、チェックをしてもらうと想定以上の課題になることはよくあると思います。
想定外の課題が出てきた場合にも対応できるようにある程度の余力を見込んだ段取りを組んでおかないと大抵の場合破綻します。予測できないことを予測しようとして時間を使うのではなく、ある程度想定ができたら割り切って進むようにします。

また1日ごとに状況は変化しており、課題の内容も量も変化します。想定通りに課題が進まない場合もよくあります。そんな時には『気合で頑張る!』といった精神論にせず、落ち着いて1日の始めと最後には必ず課題を整理して、当日にやる課題や次の日にやる課題を常に整理しましょう。これをするだけで毎日の気持ちは相当軽くなります。

予定時間を過ぎたら、たとえ作業途中でも一度手を止めましょう。絶対に外してはいけないことを明確にして、変更可能な課題を上手く利用して柔軟に対応する方法を考えて、常に状況に合わせて塗り替えていきます。

まとめ:明日から実践できる「段取り」3つのステップ

今回は、仕事の成果を大きく左右する「段取り」について、3つのステップで解説しました。

  • STEP1:マインドセット(基本姿勢):まずは「できる方法」を考え、とにかく「自分で」段取りを組んでみることから始めましょう。
  • STEP2:プランニング(計画立案):「成果イメージ」を固めてゴールを定め、「期間」から逆算し、「やらないこと」を決めてタスクを絞り込みます。
  • STEP3:実行・調整(実践と見直し):「根拠」を持って優先順位を決め、周囲への配慮を忘れないこと。そして、常に「余力」を持ち、状況に合わせて計画を柔軟に塗り替えていきましょう。

「段取り」は、単なる作業管理術ではありません。仕事のゴールを見据え、周囲と協力し、信頼を勝ち取っていくためのコミュニケーション術でもあります。

まずは次の仕事で、いきなり手を動かす前に5分だけ時間をとり、「この仕事のゴールはなんだろう?」と考えてみてください。その小さな習慣が、働き方を大きく変えるはずです。

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