日常の構造設計でよく遭遇する「あるある」な事象を、その解決策と合わせてまとめてみました。今後も内容は随時更新していきます。
自身の経験だけでなく、同僚の失敗談などから学ぶことも多いはず。ぜひ参考にしてください。
品管あるあるについて随時募集しています。(コメント、XのDMでお待ちしています)
①図面編
・部分に集中しすぎて、全体のバランスを見落とす
- (事象) 全体を眺めたとき、明らかに荷重やスパン条件が厳しい部材より、そうでない箇所の配筋が多くなっている。😅
- (解決策) 計算を始める前に、まずは部材符号を設定する段階で、建物全体の力の流れを意識した大まかなストーリーを描こう!
・口頭での調整事項が、図面に反映されていない
- (事象) 設備担当者と調整済みと聞いていた開口が、現場で「話が違う」となり、計画変更にならない方法を必死に考えるハメに…。😵💫
- (解決策) 調整した内容は、必ず関係者が見る図面に明確に記録し、確実に共有しよう!
②計算編(一貫計算)
・まずは応力図の数値を見よう
- (事象) 「RC雑壁の取り付き方で、実際の力の流れとモデルが合っていない」といった会話が頻発。『断面算定のNGが一か所だけ消せません…』『どの応力に対してNGなの?応力図と断面算定表は見た?』『…見ていませんでした』
- (解決策) まずは応力図の数値を見て、どの応力がクリティカルになっているか把握しよう。
・柱・梁の検討に集中し、接合部で手戻り
- (事象) RC造の柱梁の断面算定を一生懸命行い、配筋を増やした結果、十字接合部以外で接合部の耐力が不足。結局、柱か梁の断面を大きくせざるを得なくなる。
- (解決策) 柱梁接合部の検討も、設計の早い段階でチェックしておこう。☝️✨
・Ds値をソフトの計算結果のまま使ってしまう
- (事象) 『保有水平耐力が満足しません』『想定しているDs値はいくつ?』『…ソフトが出した値のままです』
- (解決策) Ds値は、ソフトに決められるものではなく、建物の特性から設計者が意図して決めるもの。想定した数値になるよう調整するのが構造設計。
参考:保有水平耐力計算とは~崩壊形とヒンジ図のチェックの視点
・検定比の大きなNGに、すぐ断面アップで対応してしまう
- (事象) 一貫計算で検定比が2.0を超えるような大きなNGが出た際、むやみに部材を大きくしてしまう。
- (解決策) まずは前提条件の確認を。応力図、耐震壁の地震力負担割合、引張力が大きく曲げ耐力が極小になっていないかなど、設定の間違いを先にチェックしよう。🧐
参考:RC造設計の本質を知る
・詳細にモデルを作ることが正しいとは限らない
- (事象) 通り芯以外に補助的な通りを細かく作り、本来は小梁とすべき部材を大梁として入力。その結果、部材ランクが過大に評価されDs値が高くなり、改善のためにさらに部材が大きくなる悪循環に…。🙄
- (解決策) 詳細なモデル化が、必ずしも正しく安全な設計につながるとは限らないことを理解しよう。
参考:横補剛はなぜ必要?役割と性能を解説
参考:詳細な検討をしたからと言って安全とは限らない
③計算編(一貫計算以外)
・メーカー丸投げNG!まずは一度手計算!
- (事象) 杭の検討報告書の内容をよく理解しないまま、設計を進めてしまう。
- (解決策) メーカーに丸投げはNG。一度は手計算やExcelなどで自分で計算し、内容をきちんと把握しよう。そうすれば、メーカーからの成果物の読み取りも楽になる。🧐(欲を言えば、メーカーごとに書式がバラバラなことや目次がないことを改善してほしい…🤣)
参考:杭の耐震設計の変遷と外力の考え方
参考:『決断』するのは電算ではなく設計者
・ヒューマンエラーがないことを確認してから電算の中身をチェック
- (事象) 計算ソフト(電算)が出力した計算書のチェックが、いつの間にか「ソフトの四則演算が合っているか」の確認作業になってしまっている。
- (解決策) ソフトは計算を間違えない。チェックすべきは、その前提条件や入力値、そして出力された結果が設計者の意図と合っているかという点。😅
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