【構造設計コラム】最終成果から逆算して「課題の解像度」を上げる思考法

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構造設計に限らず、課題を進める上で最も重要なことは、「最終的な見通しを持って思考を展開すること」です。

最終的な見通しを持たずに目の前の課題に取り組むことは、作業の優先順位が判断できないだけでなく、思考のスピードが上がらず、より良いアイデアを思考する余地がなくなります。

頭ではわかっていても上手くいかないこともあります。今回の記事では最終成果から逆算して課題を組み立てる方法を感覚的なものではなく具体的な言葉にして解説していきます。

目次

① 作業手順ではなく『目的』の解像度を上げる

まず行うべきは、課題における「目的の解像度」を極限まで上げることです。作業の手順を考えて段取りを組んだつもりになりがちですが、目的の解像度が低いとその手順がよいのかの判断もできません。

例えば「資料作成」一つをとっても、それを「資料を作る作業」と捉えるか、「合意形成のためのツール」と捉えるかで、言葉遣い、図版の表現方法、記載の順序は全く異なります。

  • この検討によって、最終的に何の意思決定を行いたいのか?
  • その決定事項は、どのように設計に反映されるのか、図面や計算にどのように表現されるのか、申請や積算ではどうなるのか、現場ではどうなるのか?
  • 各段階で、関係者に対してどのような影響を持つか?自分の作業を終わらせることだけを考えるのではなく「この決定がプロジェクト全体にどう波及するか」まで思考を巡らせる。

このように、最終的な着地点を「仮」でも良いので具体的にシミュレーションすることが重要です。 ただし、考えてばかりで先に進めなくなってしまっては意味がないので、ある程度のところまで解像度を上げた段階で「とりあえずやってみる」に移ります。ここで止まってしまう人は完璧主義タイプの思考の人にありがちな壁の一つです。

参考:構造設計の「しんどさ」は「完璧主義」のせい? やりがいを見出すための思考法

『とりあえずやってみる』というのも本当にただの『出たところ勝負』であっては意味がありません。一通り見通しを仮設定した上で、『とりあえずやってみる』ことで仮設定した道筋の解像度を上げていくことが目的になります。

また、マインドセットとして「任された課題は、今の自分に解けるはずだ」と前向きに捉えることも不可欠です。 「できない」という不安や他人任せの思考は、無意識に思考の射程(視野)を狭くし、中途半端な成果や既存の答えに終着する原因となります。無意識な思考のブレーキに気付くだけでも成果は高まります。

② 思考プロセスを「言語化」して論理の穴を塞ぐ

逆算するために最終的な目的を見通すというと難しく感じるかも知れません。いきなり最終成果を見通すのはある程度の経験も必要になり、誰でもすぐにできるものではありません。前述したように目的を丁寧に言葉にしていくだけでも課題の解像度は大きく変わってきます。

全部が逆算である必要はなく、作業や思考が進む順にそのプロセスを丁寧に「言語化」して並べていくことと逆算を行き来することで解像度は高まっていきます。

頭の中にある漠然とした手順を言葉に落とし込むことで、「なんとなく」で進めていた部分や、自分の解釈が一般常識とズレている箇所が浮き彫りになります。

「見える化」とは、自分の思考の曖昧さを客観視し、疑問点や不明点が何かを把握する手段の一つです。これを経ることで、自分が思考するのに不足している情報が明確になるため、それらを解決することで作業を進めることができるようになります。

参考:設計精度を高めるのに不可欠な「言語化」の思考法

③ どんなことにも目的・意図を込める

成果物の中、またそこに至る経緯の中には、無数の「意図」を込める必要があります。前段で解説してきた手順の中で言葉化していくものの中になんとなくといった無目的なものが入ってしまうとそれ以降の仮説の全てが意味のないものになってしまいます。

意図がないものと言うのは、何か新しい情報や要望が出てきたときに、それを変更してもよいのか、変更することでどんな影響があるのかが判断できなくなります。『とりあえずやってみる』が『出たとこ勝負』になるというのはまさにこの『意図の欠如』のことを指します。

最も避けるべきは、思考を止めて過去の事例をそのまま流用したり、漠然とした言葉を使ったりすることです。これらは無意識に自らでの意思決定を放棄していることになります。

自ら意図を込めることは当然ですが、何か参考物から学ぶ時にも、まず『そこに込められている意図を読み取ること』から始める必要があります。その意図を理解することで初めて参考にすることができます。

まずは『自らの判断に意図を込める』、『他者の成果から意図を読み取る』の2点を意識するだけでも、「なぜそうしたのか」という問いに対し、論理的な言葉で答えられるようになります。また、意図を理解しようとすることで、自分に足りない知識や、検討すべき不明点が自ずと浮き彫りになります。

ここで抜けがちな2つ大事な視点があります。案を1つに絞っていくと無意識にその案を正当化する方向に思考が向かいがちになります。まずはそのことに気付いて常に客観的に判断することと、採用されなかった案においてもなぜ採用しなかったのかということにも明確な意図を持つことです。

この2点を意識することで、より明確な意図を持った提案や見通しを持った行動に繋がっていきます。

構造設計の世界に絶対的な正解はほとんどありません。だからこそ、『なぜそうしたのか』という目的意識を持った思考と行動こそが、次の成果へと繋がることになります。

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